その解は、本当に正解か

コーヒーをきっかけに

ある朝、コーヒーを淹れていた時のことです。

お湯を沸かしつつ、コーヒーミルで豆を挽いて、お湯を注ぐと最初の20秒は豆を蒸らし、その後少しずつ、しかし3分以内に終わるようすみやかに。

いつもと同じ手順で、ていねいにコーヒーを淹れていました。

それから少し経って陽も高くなってきた頃、PCに目をやりながら魔法びんに入れておいたそのコーヒーを口に運び、

ぼく
うわっ!!!
まっず!!!!!!!

突然襲ってきたのは舌を突き刺すような強烈な酸味。危うくコーヒーを吹き出して撒き散らしてしまう事態は免れたものの、とても飲めたものではありませんでした。

特に変わったことはしていなかったはずなのにどうしてだろう。わからない。思い当たる節がない。これは困った。

だけど、これまでのやり方が常に正解であり続けるとは限らない。そういうことなら十分ある。

そのことを僕は経験上、既に知っていました。

ぼく
MAZUI !!!!!!!!!!!!!!!!

case1. 兄妹の子育て

前回、僕は父の話を書きました。

父も、今回は触れませんでしたが母も、二人とも少々生きるのに不器用ではあるものの、僕にとってはよい親でした。毒親とかじゃなくてほんとよかった。

父と僕/認めるということ

2020-12-13

しかしながら、妹にとっては違いました。

僕には少し歳の離れた妹がいます。兄妹仲は子供の頃から良好で共通の話題も尽きないのですが、根本的な性格というか性質は正反対でした。

社交的で温厚な兄と、内向的かつ神経質な妹。

その妹と、両親との相性はよくありませんでした。

別に妹がひどい扱いを受けていたり、両親と衝突しがちだったということはありません。両親は妹に対しても僕と同様に、愛情を注いでくれていたと思います。

ただ、その愛情のことごとくが妹のかたちに噛み合わなかったようです。妹は話の通じない両親と共にいることが、だんだん苦痛になっていったといいます。

それでも彼女は開いてしまった両親との距離を埋めようと、大人になってから度々歩み寄ろうと試みます。しかし、ついに相互理解に至ることはありませんでした。

case2. 別れたかったはずの後輩

正解にまつわるもので、もう一つ思い出す話があります。

僕が大学生だった頃。

後輩の女の子から、当時交際していた先輩と別れたいとの相談を持ちかけられたことがありました。

少し話を聞いてみると(今にして思うとこれがよくなかった)、確かに彼の素行はいろいろとアレな感じだったし、別れ話になるのも無理からぬ様子でした。

で、間に入ってしまった時にはもう手遅れ、とばっちりを喰らって少々修羅場に巻き込まれたりしましたが、なんやかんやあって後輩は最終的には無事彼氏の元を去ることができました。物理的にはあちら側が立ち退く形になったわけですが。

ともあれ、こうして後輩はようやく自由の身になったのです。

……話がここで終わってくれればめでたしめでたしなのですが、残念ながらそうはなりません。

どういうわけか、後輩は随分と浮かない顔をしていました。

彼氏と別れたい。そう望むならと割って入って、実際にそれは成就された。なのにむしろ落ち込んでしまっている。

確かに別れたかったのは本当でしょう。しかしその前提も踏まえた上で、彼女にとっての幸せとは、この場合の正解とは、一体どういう結末に辿り着くことだったのか。この答えを、僕は未だに導き出せていません。

ただ一方で、だからこそわかったこともありました。

そのひと個人にとっての正解とは。

他人がどう定義しようが本人にしかわからないし、何なら本人にだってわからないこともある。

うーんにんげんむずかしい。

まとめ

すべてが算数の式のように、唯一絶対の答えが用意されていたならば、世の中はもっとすっきりしていたかもしれません。

しかし、実際はそうではない。

そうではないどころか人や場所、時間経過やとりまく状況、その他もろもろの要素で正解は変わってしまうもの。今回一番言いたいのはこれです。

僕も仕事柄相談に対してアドバイスを提供する立場にはいますが、どうやったって「正解はこれ」とか「絶対に〜すべき」なんて言葉は使いません。使えません。だって変わっちゃうんだもんね。

それでも、その瞬間の全力で僕は最善策を模索します。すると相反するようですが、どういうわけか的を射ることもしばしば。うちにご相談されたことがある方なら、お心当たりもありましょう。

だから、願わくば絞り出されたアドバイスを、金言を、みなさんもうまく参考にして下さい。上手に利用してやって下さい。

盲信はおすすめしません。柔軟な頭と心で、ことに当たって欲しいと思います。

おまけ

冒頭のすっぱいコーヒー、その後も考えたところ、もしかしたらお湯の温度が低かったのがいけなかったのではないかという結論に至り、キッチン用の温度計を買ってきました。

それを使って熱々のお湯でコーヒーを淹れたら、いくらかましになった気がします。とりあえずちゃんと飲める。

ここ最近急に冬らしくなってきて、寒くなったためにこんな悲劇が起きたのかもしれませんね。

気がつけば、年の瀬ももうすぐです。

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